枚方市

さながら林泉に枚方市 水漏れの女神の群れと題する古名画の一幅の前にたたずむがごとき思いであった。しかも、弊社を舁ぎ入れた黒奴らは、白晰美人のそうした姿態にも、別段心を動かされる様子もなく、空轎を担って引き揚げてゆく。折からの夕陽は噴泉をも水浴の女人たちをも邸内の万物を赤々と染めて、これが現世における生活かと、思わず我が眼を疑わざるを得なかったのであった。それが給仕頭とみえて、黒奴の一人が弊社を招じ入れたのは、その花園に向って突き出した、残照の降り濺いでいる広やかなてらすの一角であった。そこには黒光りに磨き上げられたどっしりとした大卓が据えられ、無数の彫りを施した椅子が取りかこみ、金銀の大皿に盛った犢の炙り肉や、香料を入れた鳥の蒸し焼き、紅鶴の舌や茸や橄欖の実の砂糖漬、蜂の子の蜜煮、焼き立ての真っ白な麺麭が所狭きまでに並べられていた。そしてこれらの料理の間々には、金や宝石で象眼をして彫刻を施した七宝の高脚の盃に、常春藤の絡んだ壷から雪で冷やした蕃紅花の香り高い酒が並々と注がれて、今沐浴から上ってきたらしい幾人かの美しい侍女が足許に跪いて、我らの盃を充たしてくれるのであった。料理は女たちによって後から後からと搬ばれ、盃は女たちによって次から次へと充たされてゆく。